健康増進

瞑想はうつに効く うつ病を予防する②

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うつ病を予防することは、あなたの会社の生産性の向上にもつながります。
経営者にとってうつ病に関する知識は、社員の健康マネジメントという側面からも、ぜひ身につけておいていただきたいと思います。

 

 

ストレスはあなたの脳が作り出している

うつ病の薬の多くは、セロトニンなどの神経伝達物質を調節するものです。
このような薬は、気分を高揚させるような効果は飲むとすぐにみられますが、精神状態の安定や他の症状改善などの臨床的な変化がみられるまでには数週間かかります。この時間差はどうしてあるのでしょうか?
またコカインなどの気分を高揚させるような薬には、抗うつ効果はほとんどありません。これはなぜでしょう?

 

みなさんが日々経験するストレスによる悩みや心配事の多くは、その経験をあなたがストレスととらえることで引き起こされます。
あなたの脳の神経回路がその出来事にどのように反応するかによって、ストレスの感じ方が違ってきます。

 

経営者であるあなたの周りにも、とても楽天的な人や悲観的な人がいるでしょう。商談などでビジネス上のアドバイスを受けた場合でも、叱責と取るか、自分のために良かれとアドバイスをしてくれていると思うかによって、ストレスの感じ方は全く違ってきます。

あなたが日常の出来事をどのように受け止めるかは、脳の神経回路が決めています。すなわち神経回路を変えない限り、抗うつ効果を持続的に期待することはできません。そのため一時的な気分の高揚には、治療効果がないのです。

 

脳の神経回路の組み替えは、セロトニンなどの神経伝達物質が豊富にあるときに、神経回路を変えたい、楽観的に考えようと自らが脳に働きかけると効率的に起こります。神経伝達物質を増加させてから効果が見られるまでに時間がかかるのはこのためです。

ここで重要なことは、神経伝達物質を増やしただけではだめで、それを利用して、神経回路を組み替えることなのです。

 

 

瞑想がストレスの軽減法として注目されている

ストレスによって弱った脳を健全な状態に戻すには、執着をあきらめ、強迫観念を捨て、ストレスを軽減あるいは回避することが有効です。どうやればそんなことができるのでしょうか?

 

最近、精神を健全な状態にすることにより、ストレスを軽減する方法として、瞑想が注目されています。瞑想が目指すところは、「マインドフルネス」です。マインドフルネスは、仏教やヒンズー教、キリスト教などさまざまな宗教で重要とされている概念です。

 

 

瞑想とは

瞑想では、自分の呼吸やろうそくの炎などに意識を集中して、心に入ってくる雑念や煩悩を遮断します。
そして見たり聞いたりすることを自分で解釈したりせずに、素直にそのまま受け入れます。
こうすることによって自分の感情について距離を置いて眺めることができ、感情をコントロールすることができるのです。
この状態が「マインドフルネス」です。

 

瞑想では呼吸法も重要視されています。
腹筋を使った深い呼吸を一定のリズムで行うと、脳でセロトニンが分泌されます。
セロトニンの産生を高めることによって、「マインドフルネス」をより効果的に行うことができるのです。

 

マインドフルネスは、健康、メンタルヘルス、人間関係、生産性の向上などに効果があることが科学的に実証されています。
そのため欧米の企業では、社員研修に「マインドフルネス」を実践するためのトレーニングを取り入れるところが増えています。

インテル社は世界10万人の従業員に対し、瞑想のトレーニングをベースとした、9週間のマインドフルネスプログラムを展開しています。その他にもグーグルやアドビ、フェイスブックといったそうそうたる企業が瞑想を企業活動の一環として取り入れています。

経営者としては、マインドフルネスに目を向けるのもよいかもしれませんね。

 

 

瞑想はうつ病の治療法としても効果を上げている

この瞑想によるトレーニングは、うつ病の治療法としても効果を上げています。
自分の体の各部分に順番に集中するように訓練して、最終的には自分の意識を呼吸に集め、その他の余計な考えを頭から締め出すようにするのです。これだけでストレスは軽減し、長期間続けることでストレスの感じ方も弱まるのです。

この治療法を8週間続けることにより、単に脳の反応性が変わる(神経経路が組み替えられる)だけではなく、感情のコントロールに重要な脳の領域の神経細胞が増えることも分かりました。
瞑想によって、脳の大きさまで変わったのです。さらに驚いたことに、瞑想によって免疫機能も高まることが分かりました。
このことはネガティブな精神状態は、免疫機能まで弱めてしまうことを意味しています。

 

2回にわたってうつ病の予防法・治療法を紹介しました。ポイントは、生活習慣や瞑想などにより脳内のセロトニンを増やし、ストレスをコントロールすることによって、神経経路を組み替えて、ストレスに強い脳に作り替えることです。

日ごろストレスの多い生活を強いられている経営者のあなたにとっては、うつ病の心配がなくても、ストレスに強くなることは有用でしょう。あのスティーブ・ジョブズですら、瞑想や禅に傾倒していたのですから。