健康増進

セロトニンを増やそう! うつ病を予防する①

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うつ病は、経営者のあなたも従業員も、誰でも発症する可能性のある病気です。
うつ病を患う人が急増している昨今、経営者として、うつ病を予防するための知識を身につけておくことが大切です。

 

うつ病の患者では、脳内のセロトニンの量が減り、そのことが発症を加速しています。
また優しく育てられたラットは、セロトニンが脳で増えることによって、ストレスへの抵抗性を身に付けます。
このことから、うつ病を予防するためには、セロトニンを増やすことが有効だということが分かります。
ではセロトニンは、どうすれば増やすことができるのでしょうか?

 

 

原始時代の生活がセロトニンを増やす

セロトニンは、進化の過程で、日中の活動がスムーズに行えるように神経系を調節する役割を与えられた分子です。
また狩猟採集生活者にはほとんどうつ病が見られません。
このことから予想されるように、狩猟採集生活をしていた時代の、日の出とともに起きて、獲物を追いまわし、日の入りとともに一日の生活を終えるといった規則正しい生活を送ることにより、セロトニンの産生が促されることが分かっています。

米国では狩猟採集生活者に似た生活を送ることによりうつ病を治療するTLC:生活改善療法が試みられていて、高い治療効果を上げています。

では具体的に、セロトニンの産生を増やす方法をみていきましょう。

 

 

同じ時間に朝日を浴びる

セロトニンンは、朝起きて日の光を浴びると脳内で産生されるようになります。
そしてその14~16時間後に、セロトニンが減ってその代わりに睡眠ホルモンのメラトニンが産生されるようになります。
こうして覚醒と睡眠のリズムができるのです。よくできていますね。

逆に夜明るい光、特にブルーライトの刺激を受けると、このリズムが狂ってしまい、セロトニンの産生が低下します。
そのため寝る2,3時間前からは、間接照明など薄暗い状態にして、できれば2時間前からは、ブルーライトを出すスマホやパソコン作業はしないようにしたほうが良さそうです。

 

また日光の刺激がセロトニンの産生に重要なため、一日部屋に引きこもり昼夜逆転したような生活や、寝て起きる時間がまちまちになることにより覚醒と睡眠のリズムが不規則になると、セロトニンの産生が低下します。
最近の子供はキレやすいのは、このような生活リズムの乱れが原因になっているのでしょう。
規則正しい生活を心がけ、朝起きたらまず日の光を浴びてセロトニンの産生を促すことは、うつ病の予防に有効なことなのです。

 

 

リズミカルな運動がセロトニンの産生を促す

リズミカルな運動がセロトニンの産生を促します。特に、ウォーキングや軽いジョギング、自転車こぎなどのリズム運動が効果的です。
どの運動の場合も、運動を始めて5分後くらいからセロトニン濃度が高まり、20~30分でピークに達します。それ以上の疲れを感じるくらいの運動は、逆にストレスとなってしまいます。

そのためストレス緩和のためには、毎日20~30分間ぐらいの軽いリズミカルな運動が効果的です。
また過ぎたるは及ばざるがごとしで、激しい運動は心臓発作などのリスクを上げてしまうので、ご注意ください。

 

セロトニンの産生を促す、お手軽なリズミカルな運動として、ものを噛むことも有効です。
ガムを20分以上噛んでいると、脳内セロトニン濃度が高まります。
食事のとき、意識して数多く噛むようにすることも、ストレス緩和になります。
ストレスを感じた時に、食欲で紛らわすということがありますが、これは自然なストレス対策なのかもしれません。

 

リズミカルな活動以外では、音楽も効果的です。
これまで様々な音楽を聴くことによって、脳のセロトニン濃度が上がることが報告されています。
音楽家の脳の神経細胞は、いろいろな部位で増えていることが知られています。
脳を健全な状態に保つには、運動と音楽がいいようです。

 

 

腸内環境改善でうつ病予防

セロトニンは、タンパク質を消化してできるアミノ酸(トリプトファン)から、腸でセロトニンの前駆体が作られて、それが脳に移行して作られます。腸でセロトニンの前駆体が作られるときに、腸内細菌がつくるビタミンが必要です。
そのためそのビタミンを作る腸内細菌が少ないとセロトニンの量も減ってしまいます。腸に細菌がいない無菌マウスでは、脳内のセロトニンは激減しています。
また腸内環境の悪い、重度の便秘の患者では、うつ傾向の人が多いことが知られています。

このようなことから分かるように、腸内環境を整えることは、うつ病予防にもなるのです。
腸内細菌のエサとなる、食物繊維やオリゴ糖を多く含む食品を採るようにしましょう。
便秘が重症の場合は、医師に相談して治療することにより、落ち込んだ気分まで改善する可能性があります。

 

ここまでご紹介したように、よい生活習慣を心がけることで、セロトニンの産生を増やし、ひいてはうつ病の予防につながるのです。