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あなたは、高血圧が日本で最も患者数の多い生活習慣病だということをご存知でしょうか。

わが国では約4,300万人が高血圧であると推測されています。総人口1億2,000万人のうち成人は約1億人。このうち約4,000万人が高血圧であると推定されています。なんと、2.5人に1人の割合で高血圧の人がいるということになります。

また、厚労省の平成26年度患者調査によりますと、高血圧で継続的な治療を受けていると推定される患者数は約1,010万人と報告されています。逆に言えば、3,000万人以上が未治療、あるいは継続的な治療を受けていないということです。

経営者のあなたがもし高血圧ならば、未治療の人や継続的な治療を受けていない人に含まれていないことを願います。

それでは、高血圧の何が問題なのでしょうか。

血圧とは?

血圧とは、簡単に言いますと血液が血管の壁を押す力のことです。

ご存知のように、血液は心臓が拍動することにより、全身の隅々にまで送られています。一定の圧力で送られるのではなく、波のようなサイクルで送られています。

そのため、血圧は心臓が収縮した時が一番高くなります。この時の血圧のことを「収縮期血圧」とか「上の血圧」と呼びます。反対に、心臓が拡がった時に血圧は一番低くなり、「拡張期血圧」、「下の血圧」と呼ばれます。

高血圧はサイレントキラー

高血圧とは血管に過度な圧力がかかっている状態です。過度な圧力がかかると、血管の内側は傷つき、コレステロールなどがくっつきやすくなります。こうして血管が硬く、狭くなるのが「動脈硬化」なのです。

高血圧によって動脈硬化が起こると、いろいろな臓器に十分な血液を送ることができなくなります。心臓に起きる障害が、狭心症や心筋梗塞、心不全であり、脳に起きる障害が、脳梗塞や脳出血、腎臓に起きる障害が慢性腎臓病というわけです。

高血圧の厄介なところは、知らず知らずのうちに血圧が高くなっていても自覚症状がほとんどないことです。頭痛、肩こり、耳鳴り、めまいなどの症状が出る場合がありますが、これらの症状は高血圧に特有というわけではありません。

したがって、日頃から高血圧に注意していなければ全く気付くことなく動脈硬化がゆっくりと進行し、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞を発症するのです。現に、脳梗塞のリスク因子の1位は高血圧です。

このように、高血圧はほとんど無症状で経過するため早期発見が難しく、突然大きな病気を引き起こすためサイレントキラーと呼ばれるのです。

高血圧の原因は?

高血圧は大きく2つに分類されます。1つは原因のはっきりしない本態性高血圧で90%を占めます。もう一つは原因の明らかな二次性高血圧で10%を占めています。

90%を占める本態性高血圧は原因がはっきりしないと言いましたが、実は、加齢や遺伝のほかに肥満、ストレス、塩分の取り過ぎなどの生活習慣が大きく関わっていることがわかっています。

高血圧の予防や治療のため生活習慣を改善をしよう!

高血圧の基準は上の血圧が140mmHg以上、下が90mmHg以上です。(140/90以上)上、下の血圧の両方とも超えていても、一方だけ超えていても高血圧と判定します。

したがって大切なのは、まずご自身の血圧を知ることです。できれば上腕に巻いて測定するタイプの家庭血圧計を家庭に1台置いておき、ご家族全員で測定するといいでしょう。

この時の注意点は、家庭血圧の高血圧診断基準は、診察室より5mmHg低く、135/85mmHg以上となります。血圧は一日の中でも変動しますので、できれば起床して排尿後、食事や内服をする前と就寝前の一日2回測定し、記録しておくととても役に立ちます。

健診で高血圧を指摘されたり、ご自身で測定した家庭血圧で高血圧が疑われたら、専門医を受診することをお勧めします。その際、家庭血圧の記録を持参するとよいでしょう。

程度のひどくない高血圧の場合は、まず、生活習慣の改善を指導されます。具体的には、喫煙者は禁煙すること、ストレスを避け、質の良い睡眠を取ること、肥満のある方はダイエットにより徐々に体重を落とすこと、適度な飲酒を守ること、適度に運動すること、そして減塩することなどです。

塩分制限は血圧の低下にとても効果的です。日本高血圧学会では1日6g未満を推奨していますが、実現には相当な努力とコツが必要です。6g未満は無理でも、とりあえずは厚労省のすすめる、男性1日8g未満、女性1日7g未満を目指してみるのがいいでしょう。

経営者のあなたはお忙しいことと思いますが、上記の内容を参考にして、高血圧対策や予防のためまずは簡単にできるところから、生活習慣の改善を始めてはいかがでしょうか。

(※本サイトの内容は、記事投稿及び更新時点での医療の一般的な知見を前提とした、執筆者の見解、研究結果をもとに作成されております。また、本サイトはがんや生活習慣病など特定の疾病・障害の予防・改善を保証するものではありません。)

高血圧の怖さを知ろう

まずは家庭で日々血圧を測る習慣を。家であれば一日の変動を計測できるので、参考になります。家庭血圧の高血圧診断基準は、診察室より5mmHg低く、135/85mmHg以上となることに注意!