病気の予防に関して

メタボリックシンドローム ぽっこりお腹が危ない

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最近よく耳にするメタボリックシンドロームという言葉。「メタボ健診」で一躍有名になりましたが、ぽっこりお腹の出た中年男性のイメージですよね。同世代として悲しい限りですが、重要な問題ですので取り上げたいと思います。

メタボリックシンドロームという概念の登場に至った経緯は、生活習慣病のコラムで説明していますが、大切なことですので敢えて繰り返します。

内臓脂肪の多さでメタボリックシンドローム発見

かつて「成人病」と呼ばれていた、がん、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、糖尿病などは、悪い生活習慣の結果起きることが明らかになり、1996年に当時の厚生省により「生活習慣病」と名付けられました。

生活習慣病は死亡原因の6割、医療費の3割を占めており、早急な対策が必要と考えられました。しかし、あなたも感じていらっしゃるように、生活習慣を改めることはなかなか難しく、成果が芳しくありませんでした。

内臓脂肪の蓄積が血圧、血糖、脂質などの異常を引き起こし、徐々に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を発症することが明らかになってきました。

そこで内臓脂肪の多い人を発見することにより、生活習慣病の早期発見や治療に役立てようと、2008年から特定健診が始まりました。メタボリックシンドローム発見のため、お腹まわりの測定が始まったのです。あなたも受けているいわゆる「メタボ健診」です。

つまり、メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積があって、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病の重なりが起こっている状態です。しかも、重症化するまでほとんど症状がないことが厄介なのです。

脂肪は悪者か?

その日食べるものに困るような太古の時代では、体内の脂肪は飢餓に備えるエネルギー源として重要な役割を果たしていました。(もちろん、現在でもその働きは変わりませんが。)

たくさんの食べ物が口に入った時に、次の食べ物にありつくまで、その日のうちに使用できずに余ったエネルギーを効率のよい脂肪という形で身体にとどめておくのです。

タンパク質・炭水化物は1gで4Kcalであるのに対して、脂肪は1gで9Kcal(※1)なので重量当たりたくさんのエネルギーを蓄えるのに効率がいいわけです。余ったら余っただけせっせと脂肪に変換し、無駄なく貯蓄してくれます。

この飢餓に備えるすばらしいシステムですが、食べ物に困らない現代においては、私たちの悪い生活習慣により、体内脂肪を増やし続ける結果となっています。人類の歴史上、こんなにも内臓脂肪が蓄積する時代が来ることは想定外の事態なのです。
※1 実際の体脂肪は水分等も含まれるため約7Kcal

内臓脂肪が諸悪の根源

女性はホルモンバランスの関係で皮下脂肪が付きやすく、逆に男性は内臓脂肪が付きやすくなっています。

実はこの内臓脂肪からいろんなホルモンが分泌されていることが明らかになってきました。

簡単に説明しますと、内臓脂肪から善玉と悪玉のホルモンが作られています。内臓脂肪が多くなると、それに伴って悪玉ホルモンが増加します。

この悪玉ホルモンは、血圧を上げたり、血管を詰まりやすくしたり、インスリンの働きを悪くします。そのような状態が長く続くと、高血圧、動脈硬化、糖尿病を引き起こすのです。

肥満、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症のうちどれか一つに当てはまる方は、何もない方に比べて動脈硬化が進んだ結果、心筋梗塞、狭心症になるリスクが5倍であるのに対して、3つ以上に当てはまる方は、そのリスクが31倍にもなるという研究結果があります。

しかもこれらは重複して当てはまりやすい特徴があるのです。驚きですよね。

あなたもメタボ該当者?

厚労省が発表した平成18年(2006年)国民栄養・健康調査で、さらに驚くべき結果が明らかにされました。

「40~74歳については、男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者(該当者)又は予備軍と考えられる者であり、該当者数 約960万人 予備軍者数 約980万人 併せて 約1940万人と推定される。」(原文ママ)

いかがでしょうか。デスクワークや食事のお付き合いの多い経営者・管理職のあなたにとって、一番の強敵はライバル企業ではなく、メタボリックシンドロームやその対策を軽視する考え方なのではないでしょうか。

メタボ対策、メタボ予防、はっきり言ってちょっと面倒です。しかし、最初は効果の出やすい方法から始めて、継続して続けることが大切です。コツをお伝えして行こうと思います。

(※本サイトの内容は、記事投稿及び更新時点での医療の一般的な知見を前提とした、執筆者の見解、研究結果をもとに作成されております。また、本サイトはがんや生活習慣病など特定の疾病・障害の予防・改善を保証するものではありません。)

メタボリックシンドロームとは

内臓脂肪はがん、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、糖尿病など生活習慣病の原因に。40~74歳男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が該当者・予備軍と考えられており、合計1940万人のメタボ及びメタボ予備軍がいると考えられている。